前回に引き続き、サルコペニアを引き起こす原因(生活習慣の改善で予防が可能な要因)について説明します。

サルコペニアを引き起こすもう一つの原因は栄養不足(特にたんぱく質!!)です。

 

日本人の食事摂取基準で示されている食事でのたんぱく質摂取量は1日あたり約1.0g/kg体重/日(70歳以上の高齢者の推奨量)です。つまり、体重が50キロの方だと、1日3食での摂取量が約50g必要である、ということになります。

この推奨量は筋肉やその他の臓器を含む全ての体タンパク質を維持するために必要な摂取量です。

(日頃から筋トレやジョギングなどスポーツに参加して活動的な生活を送っている方の場合はさらに多くのたんぱく質が必要です)

 

体内では古いたんぱく質を壊し新しいものに作り替える”リモデリング”といわれる代謝が日夜続いています。古いたんぱく質を新しく作り替えるためには、日々たんぱく質を食事から摂取することが必要です。

米国で行われた2,000人以上の高齢者を対象とした3年間の追跡調査で、多くの高齢者は除脂肪量(一般的には筋肉量の指標として考えられています)の減少を報告しました。

たんぱく質を最も多く摂取していた高齢者のグループ(1日の総たんぱく質摂取量の平均が1.1 g/kg体重/日)は、たんぱく質摂取量が最も少なかったグループ(0.7 g/kg体重/日)と比較して筋肉量の低下がなんと約40%も抑えられていました。

この結果は日頃の活動量を考慮した結果ですので、単純に食事でのたんぱく質摂取量が多い方が加齢による筋肉量の低下を予防できる、ということになります。

 

また病気やケガから起こる急激な体重減少は同時に筋肉量を減少させます。この3年間の追跡調査において、急激な体重減少を経験した高齢者の方々をさらに検証した結果、たんぱく質摂取量の最も少なかった高齢者において、最も多くの筋肉量の減少が認められました。

つまり日頃からたんぱく質を食事からしっかりと摂っておけば、万が一病気やケガで寝たきりになった際の筋肉量の減少を予防することも可能になります。

 

以上の結果からも、食生活でしっかりとたんぱく質が取れているかどうかを見直すことは、日常生活で実施可能なサルコペニア対策と言えます。

 

参考文献:Houston, DK et al. Dietary protein intake is associated with lean mass change in older, community-dwelling adults: the Health, Aging, and Body Composition (Health ABC) Study. Am. J. Clin. Nutr. 87:150-155, 2008.