「筋トレをすると筋肉が肥大する」「運動不足や食べ過ぎは肥満に繋がる」。。

これらは一般的に知られている”現象”ですが、具体的にどのような機序で筋肉が肥大するのか、についてはあまり知られていないのではないでしょうか?

効率的な筋肥大を獲得するためにも、実際に筋トレを行う個人が筋肉が肥大する機序についての基本的な知識を有しておくべきです。

 

筋肥大の分子レベルでの制御については未だ解明されていないことが多くあります。またその制御に関わる幾つかの知見については科学者の間で議論が続いています。

しかし、その議論の内容に関わらず、筋肥大には「筋肉の構造を形作るタンパク質の合成を高める」ことが必須条件です。

 

一度の筋トレに伴う筋肉のタンパク質合成

筋トレを一度行うと運動後に筋肉の合成(筋タンパク質の合成:筋肉の細胞内にアミノ酸が取り込まれて新しいタンパク質を生成するプロセス)が急激に増加します。

一度筋トレを行うだけで、運動後の1〜2時間後には筋タンパク質の合成が急激に増加します。そしてこの筋トレに伴う筋タンパク質の合成の増加は、運動後約24〜48時間ほど持続します(下図)。

筋肉の合成が上がるということは、一回の筋トレで筋肉が大きくなるの?と思われるかもしれません。もちろん、1回の筋トレで見た目が大きく変わるほどの筋肥大は期待できませんが、「細胞レベル」では筋肥大していると言えます。

アメリカスポーツ医学会(ACSM)が推奨する運動ガイドラインでは、健康な成人は週に2〜3回の筋トレの実践を推奨しています。一回の筋トレの効果が2日間続くとすると、同じ筋肉を毎日筋トレする必要はありません。

理論的には、例えば月・水・金に実施するなど、2日に1回のトレーニングで筋肉の同化作用を常に高い状態で維持できます。つまりACSMのガイドラインは、筋生理学の観点からも合理的であると言えます。

この筋トレに伴うタンパク質の合成の増加が長期的に、かつ定期的に繰り返し行われることで、筋線維が徐々に太くなり、結果として筋肉の量が増加すると考えられています。

今日から筋トレをする際には、この「筋肉の合成」を意識してみてください。筋トレの生理作用を知ることで、より運動へのモチベーションも向上し、筋トレを生活習慣に定着させることにも繋がると思います。

 

 

参考文献:

1.         Dreyer, H.C., et al., Resistance exercise increases AMPK activity and reduces 4E-BP1 phosphorylation and protein synthesis in human skeletal muscle. J.Physiol, 2006. 576(Pt 2): p. 613-624.

2.         Phillips, S.M., et al., Mixed muscle protein synthesis and breakdown after resistance exercise in humans. American Journal of Physiology, 1997. 273(1 Pt 1): p. E99-107.

3.         Kraemer, W.J., et al., American College of Sports Medicine position stand. Progression models in resistance training for healthy adults. Med.Sci.Sports Exerc., 2002. 34(2): p. 364-380.