筋トレを実施する際の食事とタンパク質摂取の重要性については以前のブログでも紹介しましたが、今回は「運動後に摂取するタンパク質の”質”の違いが筋肉の合成に及ぼす影響」について説明したいと思います。

その種類に関わらず(ホエイやカゼインなどの乳タンパク質、大豆タンパク、卵白、牛肉など)、筋トレ後にタンパク質を摂取することで、筋肉の合成をより増加させます。

しかし、例え摂取量が同じであっても、タンパク質の種類によって運動後の筋肉の合成の高まり方が異なります。

一般的に、動物性タンパク質(肉や乳製品など)は植物性タンパク質(大豆や小麦など)の摂取と比較して筋タンパク質の合成をより向上させることが報告されています。

なぜ同じタンパク質でもその種類によって筋肉の合成作用が異なるのでしょうか?

その答えは、「アミノ酸の消化吸収と利用性」そして「ロイシンの含有率」によって説明できます。

 

タンパク質からのアミノ酸の消化吸収と利用性

タンパク質は胃を通過して大半は小腸からアミノ酸として消化・吸収された後、肝臓を通過して最終的に全身に運ばれます。

しかし食事として摂取したタンパク質はその全てが筋肉に運び込まれるわけではなく、一部は吸収されることなく排出されたり、また一部は内臓のタンパク質代謝や尿素の生成で消費されるため、最終的に消費されずに残ったアミノ酸が筋肉に到達するのです。

乳タンパク質や牛肉などの動物性タンパク質は、そのタンパク質を構成するアミノ酸全体の3割〜5割が消失するため、最終的に約5〜7割が血液に乗って全身に運ばれる(筋肉まで到達する)ことが示されています。

植物性タンパク質は消化性が動物性タンパク質と比較して低く、かつ吸収後の消失(肝臓での尿素への変換など)が高くなるため、最終的に筋に到達するアミノ酸量は動物性タンパク質と比較して低くなります。つまり、動物性タンパク質の方が効率的により多くのアミノ酸を筋肉に到達させることができるのです。

 

タンパク質のロイシンの含有率

筋肉の合成にはその構成因子である全てのアミノ酸が必要ですが、筋肉の合成のスイッチを入れるのは、アミノ酸の中でも必須アミノ酸、その中でも特に分岐鎖アミノ酸のロイシンが重要です。

ロイシンは他の栄養素やアミノ酸無しでも、筋肉の合成を制御するmTOC1(エムトール)を刺激することで、アミノ酸単体で筋肉の合成を刺激します(もちろん、筋肉の合成スイッチが入ったとしても、筋肉の合成を維持するためにはその材料となる全てのアミノ酸が必要になります)。

つまりタンパク質量(総アミノ酸量)が同じでも、その中に含まれるロイシンの量が多ければ、結果的に筋肉の合成刺激も高くなります。

動物性タンパク質は特にロイシンの含有率が植物性タンパク質と比較して高いことが報告されています。

下の表に植物性と動物性タンパク質を幾つか記載しました。

動物性タンパク質の中でも特に乳タンパク質はロイシンの含有率が高いことが分かります。また大豆は植物性タンパク質の中でもロイシン含有率が比較的高い部類に入ります(例えば小麦のロイシン含有率は6.8%、じゃがいものロイシン含有率は5.2%と低い)。

 

「アミノ酸の消化吸収と利用性」や「ロイシンの含有量」の違いが複合的に作用して、最終的に運動後の筋肉の合成の違いを生んでいると考えられます。

筋トレを実施した後のタンパク質摂取を比較した研究では、乳タンパク質(脱脂乳)が大豆タンパク質と比較して運動後の筋肉の合成速度をより高めたと報告しており、動物性タンパク質の優位性を示しています(下図)

 

決して動物性タンパク質のみを摂取すべきであるというアドバイスではありませんが、効率的に筋トレ後の筋肉の合成を高めるためにも、摂取するタンパク質の量だけでなく、タンパク質の“質”を意識することも重要であることは明らかです。

 

 

参考文献:

  1. van Vliet, S., et al., The Skeletal Muscle Anabolic Response to Plant- versus Animal-Based Protein Consumption. J Nutr, 2015. 145(9): p. 1981-91.
  2. Wilkinson, S.B., et al., Consumption of fluid skim milk promotes greater muscle protein accretion after resistance exercise than does consumption of an isonitrogenous and isoenergetic soy-protein beverage. Am J Clin Nutr, 2007. 85(4): p. 1031-40.
  3. Fouillet, H., et al., Absorption kinetics are a key factor regulating postprandial protein metabolism in response to qualitative and quantitative variations in protein intake. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol, 2009. 297(6): p. R1691-705.